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現在日本で人気のミニバンですが、このジャンルはそう古いものではありません。日本では1996年にデビューしたホンダ ステップワゴンが、現代のミニバン作りに通じる第1号車とされています。ではその頃の中型ミニバン市場はどのような様子だったのでしょうか。
ミニバンと言う言葉はアメリカ発祥です。1980年代後半にアメリカで人気ミニバンだったシボレー アストロなどが日本にも輸入され、同時にミニバンという言葉も入ってきました。ちなみにシボレー アストロは全長4775mm、全幅1970mm、全高1930mmとトヨタ アルファード並みの巨大な車です。
なぜこんな大きな車を「ミニバン」と呼ぶのかと言えば、アメリカにはさらに大型の「フルサイズバン」と呼ばれるジャンルがあるからです。フルサイズよりは小さいのでミニバンというわけです。さらに英語で「バン(van)」の意味は人や荷物を載せる背の高い車という意味で、日本のように商用貨物車だけを意味するわけではありません。
当時の日本のいわゆるミニバンジャンルは、商用貨物車をベースとしたトヨタ ハイエースのようなワンボックス車や、運転席の真下にエンジンを搭載するトラックベースのトヨタ ライトエース・ノアのようなキャブオーバー車が主流でした。運転感覚はトラックそのもので乗用車らしさはありません。また当時はセダンやステーションワゴン、三菱 パジェロのようなRV車が人気で、当時のワンボックス車はマニアックな車で一般的な人気はありませんでした。乗用ワゴンだけでは採算が取れず、商用貨物車とベースを共通にする必要がありました。それが乗用車ユーザーからさらに関心を削ぎ、経営的に成功が難しい悪循環に陥っていたのです。
そのような状況の中、登場したのが初代のホンダ ステップワゴンでした。ホンダはミドルクラスの商用貨物車を製造しておらず、ステップワゴンはアコードと基本的なパーツを共有する乗用車として開発されました。特徴的なのはエンジンをボンネットに搭載したボンネット型ミニバンであり、駆動方式にFFを採用し、低床フロアを実現したことです。
当時のトヨタ ライトエース・ノアや日産 バネット・セレナは、いずれもキャブオーバー型のFR車で、フロアも高く、ご高齢の方や身体にハンディカップをお持ちの方でもスムーズに乗り降りできる車ではありませんでした。商用貨物車ベースだから仕方のないことだったのですが、商用貨物車をベースとしないホンダ ステップワゴンは、当時の常識を全て打ち砕きました。
ボンネットありのミニバンボディ、FF、低床フロア。これらは現在販売中のミニバンなら、どれも採用していること。初代ホンダ ステップワゴンは、日本のミニバンづくりのセオリーを発明し、日本にミニバンを乗用車として定着させた歴史的な名車なのです。
初代ホンダ ステップワゴンがいかに画期的なミニバンであったかを、ご紹介しました。それでは次にホンダ ステップワゴンの5代に渡る歴史をご紹介します。
ホンダの「クリエイティブ・ムーバー」第3弾として1996年に登場。当時はレクリエーショナル・ヴィークル(RV)としての位置づけでした。搭載エンジンは2.0リッター直列4気筒DOHC、ミッションは4速ATのみ。駆動方式はFFと4WDだけでした。ここまで割り切った設定にしたのは当時の運輸省の型式認定を簡略化し開発コストを抑えるためでした。
当時の販売価格は1,548,000~2,368,000円と戦略的な値付けで、アコードとほぼ同価格帯で、爆発的にヒット。4年6カ月のモデルライフで、総生産台数は476,611台。1カ月平均8,800台を販売した計算になります。
大好評だった初代モデルを踏襲し、キープコンセプトのモデルチェンジとなった2代目ステップワゴンです。デザインは初代モデルを洗練したデザインですが、中のメカニズムは一新され専用開発となりました。
搭載エンジンは2.0リッター直列4気筒DOHCと、のちにマイナーチェンジで2.4リッター直列4気筒DOHCも搭載されました。ミッションは2.0リッター車が4速AT、2.4リッター車が5速ATです。駆動方式がFFと4WDなのも初代と同様です。
2代目ステップワゴンでは、エアロパーツを装着したスパーダが初めて設定されました。ミニバンとエアロパーツの組み合わせは、現在でも大人気です。この点においても、ホンダ ステップワゴンは、日本のミニバンの先駆車といって良いでしょう。
4年間のモデルライフで総生産台数は278,973台。毎月平均5811台の販売で、初代ほどの人気は得られませんでした。
3代目モデルはボディサイズを若干ダウンサイジングし、全長と全高を抑えました。しかし室内空間は2代目までと同様に広く、これを実現したのはエンジンルームの小型化、床下の燃料タンクの薄型などによるホンダ伝統の「MM思想」による結果です。ミニバンボディ特融の横揺れやロールを抑えるため重心を40mm下げ、コーナリング性能を向上させるなど、ホンダらしいスポーティーな作りこみも見せています。
ステップワゴンはボディ剛性確保のため、従来は助手席のみスライドドアでしたが、3代目より両側スライドドアを採用しました。またモデルチェンジを機に廃止されていたスパーダも、のちのマイナーチェンジで復活しています。
搭載エンジンは2.0リッターと2.4リッターの直列4気筒DOHCで、駆動方式はFFと4WD。ミッションは2.0リッター車が4速AT、2.4リッター車FFがCVT、2.4リッター車4WDが5速ATと細分化されています。
4年間のモデルライフで総生産台数は290,800台。月平均6058台の販売で、2代目より販売が回復しました。
3代目ステップワゴンでダウンサイジングしたボディを、全長・全高を拡大するモデルチェンジを実施。ルーフには縦1400mm、横840mmのスカイルーフと呼ばれるガラスルーフを採用しました。
エンジンは2.0リッター直列4気筒SOHCだけに戻され、VTECの応用型であるi-VTECをバルブに採用し、FF車で平成22年度燃費基準+25%、4WD車で同基準+20%を達成する当時のエコカーでした。
生産期間は2009年10月から2015年4月までの5年6カ月と長く、総生産台数は324,725台。月平均で4725台とステップワゴン人気に陰りが見えるように感じますが、リーマンショックや運転支援機能の台頭など、時代の影響を大きく受けたと解釈する方が妥当でしょう。
2015年4月に登場した5代目ステップワゴンは、シリーズ初のダウンサイジングターボを搭載。1.5リッター直噴DOHCにVTECとターボを装着し、最高出力110kW(150ps)/5500rpm、最大トルク203Nm(20.7kgfm)/1600-5000rpmと2.0リッター車並みの動力性能を発揮します。自然吸気エンジンの2.0リッター車と異なり、最大トルクが1600回転から5000回転と幅広い範囲で発揮され、低中速での動力性能の磨き上げが特徴ですが、時代はハイブリッドが人気で、なかなか販売が伸びませんでした。
そこで2017年9月にi-MMDというハイブリッドシステムを搭載、その後、i-MMDは現在のe:HEVへと名称を変更しました。現在のステップワゴンの新車は、7割がハイブリッド車だといいます。
また雲煙支援システムの「Honda SENSING」が搭載されたのも、5代目からです。デビュー当初はオプション設定でしたが、2016年5月のマイナーチェンジでG系グレードとスパーダに標準搭載となりました。
現役モデルのため総生産台数は不明ですが、自動車販売協会連合会(自販連)によると、2021年1月から6月の登録台数は21,262台。月平均3543台は、モデル末期であることを考えれば人気車と言えます。
ホンダ ステップワゴンの歴史をご紹介しました。ホンダ ステップワゴンは開発段階からミニバンとして日本初にして独特の存在であり、その画期的な面は代々受け継がれています。残念なのは、保守的なユーザーが多いミニバンユーザーに、ステップワゴンの画期的な点がうまく伝わっていないことでしょう。特に5代目のダウンサイジングターボは、中型ミニバンとして乗りやすさは国内トップクラスです。ぜひ、試してみてくださいね。
画像提供:本田技研工業株式会社
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