ミニバンにセダン用のタイヤを履かせてませんか？

同じクラスのミニバンとセダンの車体を比べてみると、大きく違うのは全高の高さと車両重量です。全高の違いは言うに及ばず、車両重量はおよそ300kg程度ミニバンが重くなります。

全高が高いとどんな影響があるのかというと

1. 横風を受けやすく車両がふらつきやすい
2. 右左折時やレーンチェンジ時にロール（車体が傾くこと）が発生しやすい
3. 車両の重心が高くなり、ロールが発生しやすくなる

などが挙げられます。いずれも安全な運転のジャマになります。また車両重量が重いと

4. 燃費が悪くなる
5. ブレーキ性能が下がる

といった影響も出やすくなります。特に雨や雪で道路が濡れている時、ブレーキが効きづらく制動距離が長くなりがちです。

これらはミニバンボディが持つ物理的な性質で、これらの弱点を少しでも克服するために車体を安定させる電子制御技術や、燃費を良くするハイブリッドやEV車を開発していますが、実はタイヤもミニバン専用に進化しています。

ミニバン専用タイヤが遂げた独自進化とは？

ミニバン専用タイヤが遂げた独自の進化とは、ミニバンボディが物理的に抱える問題を解消するための進化です。

ミニバン専用タイヤの独自進化1・偏摩耗防止の工夫

ミニバンは全高が高くロールが起きやすいですが、その結果タイヤでは「偏摩耗」が発生します。いわゆる片べりで、タイヤと道路の接地面（トレッド面）が左右均等に摩耗しないことです。偏摩耗を放っておくと、

• 加速時に駆動力が路面に伝えきれず燃費の悪化を招く
• ハンドルを切っても車両が方向を変えない
• ブレーキ性能の悪化

などが起き、安全性を著しく損ないます。そこで偏摩耗を防止する工夫が施されたミニバン専用タイヤの装着がおすすめなのです。

ミニバン専用タイヤの独自進化2・燃費向上の工夫

ミニバンは大きくて重いボディに、多人数が乗車し、荷物も多く載せます。つまりボディだけでなく、実際の運転時にも重いのです。となると懸念されるのは燃費の悪化です。ミニバン専用タイヤは「転がり抵抗係数」という指標を作り、Aランク以上が低燃費が期待できるタイヤとしておすすめです。最高がAAAランクです。

タイヤが転がりやすいということは、タイヤのグリップ力の低下を懸念されるかもしれませんが、それも両立しています。「ウエットグリップ性能」という指標で性能が示され、最高のa、２番目のbランクなら雨の日でも安心とされています。（とはいえ過信は禁物です！）

ミニバン専用タイヤの独自進化3・静寂性向上の工夫

ミニバンの使い方で乗用車の他のボディタイプにない使い方が、3列目シートへの乗車です。運転席や2列目シートの会話は快適なのに、3列目シートでは路面とタイヤの接地音（ロードノイズ）でうまく会話できないということもあります。ミニバン専用タイヤは、3列目シートを快適にするために、車内に侵入しやすい周波数のロードノイズの発生を抑える工夫がされています。

タイヤの交換タイミングのおすすめは？

タイヤ交換はどんなタイミングで行えば良いのでしょうか。今履いているタイヤはいつまで使えるのでしょうか。

タイヤ交換のタイミング1・タイヤの製造から3年経過した場合

タイヤはゴム製品で、寿命が3年です。製造から3年が経過したタイヤは、例え溝が残っていても、交換するのが懸命です。古くなったタイヤはゴム内の油分が抜け出し、柔軟性に欠けます。タイヤは走行中に変形するのですが、この変形に耐えられず破裂（バースト）する事故は珍しくありません。

ではタイヤの製造年月の確認方法はというと、製造年月はタイヤの側面でホイールに近い部分に4桁の数字で刻まれています。仮に「2415」と刻まれていたら、「24週目2015年」の意味で、2015年の24週目（6月ごろ）に製造されたタイヤだとわかります。

タイヤ交換のタイミング2・タイヤの溝が1.6mm以下になった場合

タイヤは溝の残りが1.6mmになると、定期的な音と振動で交換時期を教えてくれます。この音と振動はタイヤに埋め込まれた「スリップサイン」が路面と当たった時に発生するのです。これを感じるようになったら、タイヤ交換のタイミングです。タイヤの溝の残りが少なく、雨が降るとスリップしやすい状態なので、早めにタイヤ交換をしましょう。

タイヤ交換のタイミング3・自動車を思うように操縦できない場合

例えばアクセルを踏んでも以前よりも加速が鈍くなったり、ハンドルを切っても思うように車両の先頭の向きが変わらない。このように感じだしたら、タイヤの溝の残りを点検しましょう。タイヤの溝の残りが1.6mm以下だと、加速もハンドリングも思うようにいかず、万が一の緊急回避もできません。

タイヤ交換のタイミング4・車体が左右に大きく揺れる場合

ロールが頻繁に発生するようになったらタイヤの偏摩耗が疑えます。また直線道路なのにハンドルを少し切らないとまっすぐに走れない場合も、タイヤの偏摩耗が関係します。速やかにタイヤ交換を行いましょう。

おすすめするミニバン専用タイヤ5選

ミニバン専用タイヤには、多くのブランドがあります。転がり抵抗係数（低燃費性）、ウエットグリップ性能（雨の日のブレーキやハンドリングの確かさ）を中心におすすめのミニバン専用タイヤをご紹介します。

おすすめのミニバン専用タイヤ1・ブリジストン プレイズ PX-RV II

プレイズ PX-RV IIは15～20インチをカバーする「40 45 50 55 60 65シリーズ」で転がり抵抗係数A、ウエットグリップ性能aを獲得しています。雨の日の運転でしっかりと「曲がる・止まる」と、耐摩耗性能とふらつき抑制に強みがあります。

おすすめのミニバン専用タイヤ2・横浜タイヤ BluEarth RV-02

BluEarth RV-02は転がり抵抗係数A、ウエットグリップ性能ｂで、低燃費で雨の日の運転でも安心できるタイヤです。他に偏摩耗に強く、静寂性も高く、まさにミニバン専用タイヤに求められる要素は全て揃っています。サイズも15インチから20インチまで揃っているので、ドレスアップ派にもおすすめです。

おすすめのミニバン専用タイヤ3・ブリジストン REGNO GRVII

横浜タイヤ BluEarth RV-02と性能は同等で、ミニバン専用タイヤに求められる要素は全て網羅しています。サイズも15インチから20インチまで取り揃えられています。

おすすめのミニバン専用タイヤ4・ダンロップ エナセーブRV505

「ふんばりテクノロジー」を採用し、ミニバンのふらつきや偏摩耗を低減したタイヤです。走行中に車体のふらつきが少ないので、細かなハンドル修正も必要なく、運転しても疲れづらいタイヤとして高い評価を得ています。転がり抵抗係数はAA、ウエットグリップ性能は基本的にbですが、13～16インチの扁平率65や55にc評価のタイヤがあるので、ご注意を。

おすすめのミニバン専用タイヤ5・ミシュラン エナジーセイバー+

転がり抵抗係数A、ウエットグリップ性能bのミシュラン エナジーサイバー+は、低燃費と雨の日の確実な運転だけでなく、耐摩耗性と静寂性も高レベルで達成しています。唯一の問題は適合サイズが少ないことで、15～16インチのみの展開です。

まとめ

ミニバンはセダンやハッチバックと異なり、車体が大柄で走行中に風の影響を受けやすいことから、ミニバン専用タイヤが開発されました。タイヤは専門用語が多く、わからないことも多いはず。そんな時はネットで検索するだけでなく、お近くの自動車販売店・中古車販売店に出向いて質問してみましょう。質問に快く答えてくれる販売店なら、購入後のアフターサービスも信頼が期待できます。