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20年前には全高の低いミニバンが存在し、ドアもスライドドアだけでなく普通のヒンジドアも採用されていました。現在では全高が低くくヒンジドアを採用したミニバンはほぼ消滅し、全高が高くスライドドアを採用したミニバンがほとんどです。スライドドアは開口部が大きく、乗降や荷物の出し入れがヒンジドアより楽です。反面ヒンジドアと比較すると、多くの部品を使用しメカニズム的にも複雑です。稼働する工業製品で部品点数が多くなれば、故障や異変は起きるもの。今回はスライドドアで起こる一般的な不具合事例と対処法、対策費用などをご紹介します。
自動車の構造はフレームと呼ばれる構造体に、サスペンション、バンパー、外装板などの部品を取付けています。スライドドアの下に当たる車体フレームが側面衝突事故などで衝撃を受けると、上下左右凸凹に変形することがあり、これではスライドドアはスムーズに開かなくなります。
またスライドドア車は大開口部を持つため、スライドドアを開けた状態では開口部のボディ剛性が下がります。普通はあり得ませんがスライドドアを開けての走行や、スライドドア開口部に何百キロもの重い荷物を勢いよくドンっと置いたりすると、最悪の場合フレームが歪むこともないとはいえません。
対処法はフレーム矯正ですが、フレームの破損度合いにより修理費用がまちまちです。高ければ100万円かることもあります。また中古車業界では、車体フレームの修理を行った車両を「事故車」としています。次の買い替え時の査定額が下がる可能性が高いので覚悟しましょう。
スライドドアが一定の方向に動くよう、車体側面の外板にはドアレール用の凹みがあり、その上にドアレールカバーが設置されています。毎日何回もレールの上をスライドドアが移動するわけですから、経年劣化で破損しやすい部品です。対処方法はドアレールカバーの交換で、費用は車種にもよりますが、部品と工賃込みで概ね3万円程度です。
ただし、側面衝突事故や右左折時に電柱や壁にぶつかるなどで、車体側面の外板パネルを破損した場合には、さらに高額になります。
スライドドアが開かなくなった場合、一番簡単にチェック・対処できるのがドアレールの目詰まりです。ドアレールに石、木の枝、ビニールなどのゴミが貯まっていませんか?ドアレールカバーが正常でも内側が物理的にふさがれていては、スライドドアは動けません。
対処方法は掃除です。目に見えるごみは取り出し、取り出せない細かいゴミはエアフローなどで吹き飛ばしましょう。
スライドドアに限らずドアの周囲にはゴムパッキンが設置されており、外部からの水分の進入をふせぎます。ゴムパッキンはゴム製なので3~5年程度で経年劣化します。ゴムパッキンが経年劣化で柔軟性を失い破損すると、最悪の場合スライドドアに巻き込まれて、スライドドアを動かなくさせます。
対処方法はゴムパッキンの交換です。部品代は1万円程度と安価ですが、さらに工賃がかかります。
スライドドアを動かそうにも、ロックが外れないことがあります。スライドドア内部のロック機構や集中ドアロック機能のボタンが破損している可能性があります。
対処方法はディーラーや整備工場に依頼して修理してもらうしかありません。費用は修理箇所や内容にもよりますが、概ね4万円程度です。
パワースライドドアの開閉には、メインモーターとリリースモーターの2種類が使用されています。メインモーターが焼き付いて故障すればスライドドアの自動開閉ができなくなります。リリースモーターが焼き付いて故障すれば、パワースライドドアの開閉ボタンが反応しなくなり、パワースライドドアを途中まで手動で開けないと、自動で開かなくなります。
対処方法はモーター交換です。費用は車種にもよりますがメインモーターなら4~10万円、リリースモーターなら3万円程度です。ただし自動車部品はアッセンブリー(ASSY)と言って、関連部品を組みあげて1つのユニットとして整備工場に販売するケースが多いです。パワースライドドアのモーター類は、スライドドアを引っ張るワイヤーや開閉センサーなどとアッセンブリーになっている場合があります。この場合には、部品代がさらに高額になります。
スライドドアの開閉スイッチの故障の原因には、先ほどご紹介したリリースモーターの故障以外にもスイッチの配線外れや、ボタンのタッチセンサーやスライドドアの開閉センサーの故障などが考えられます。
対処法はディーラーや整備工場での修理です。スイッチの配線外れなら工賃だけで済みそうです。ボタンの故障ならボタン単体で部品が手に入れば安価な部品代になりますが、周辺のボタン丸ごとのアッセンブリーだと1、2万円になるようです。スライドドアの開閉センサーはモーターやワイヤーなどとアッセンブリーになっている可能性が高く、10万円程度の出費は覚悟しておきたいところです。
パワースライドドアは、モーターでスライドドアに括りつけられたワイヤーを巻き取ってスライドドアを動かします。このワイヤーが断線したら、スライドドアは自動では動きません。
対処法はワイヤーの交換で、ディーラーや整備工場での作業となります。ワイヤー単体で部品販売しているメーカーなら2万円程度の部品代に工賃で済みますが、モーターなどとアッセンブリーになっている場合は10万円程度は覚悟しておいた方がよいでしょう。
チャイルドロックは、小さなお子さんが謝ってロックを外して車外に飛び出ることを防ぐ機能です。チャイルドロックをすると車内からは開けられなくなり、車外からしかドアを開けられなくなります。ただしチャイルドロックがかかっている場合でも、パワースライドドアの開閉スイッチは反応しますが、スライドドアは動かないので、不具合と間違えやすい現象です。
対処法はチャイルドロックの解錠です。チャイルドロックのボタンはスライドドアの前方の側面にあります。これをオフすれば解決です。
給油口は日本車の場合、車体左側面にあることがほとんどです。もし給油口が開いたまま左側のスライドドアを開けようとすると、途中までしか開きません。パワースライドドアではセンサーが反応し、システムが途中までしか開けません。手動スライドドアの場合、物理的に給油口カバーまでしか開けられません。
対処法は給油口を閉めることですが、給油口を開けるのは燃料補給の時で、乗員もクルマから降りて休憩したいでしょう。スライドドアを開けるなら給油口を開ける前にして、乗員にはいち早く降りて休憩してもらいましょう。
スライドドアの不具合を引き起こす主な原因をご紹介しました。では実際どのようなスライドドアの不具合に、どの原因が考えられるのか。主なスライドドアの不具合現象5選でご紹介します。
スライドドアが急に開かなくなった場合、考えられる原因は
です。ここまでは手動式、パワースライドドアのどちらでも起こり得ます。パワースライドドアだとさらに
など、パワースライドドア特有の原因も考えられます。まずは手動でスライドドアが開くかどうか確認しましょう。手動で開くようなら、パワースライドドア関連の内部構造のトラブルの可能性が高くなります。もし手動でもスライドドアが開かないようなら、ゴムパッキンの破損をチェックし、なんともないようなら整備工場に持ち込んで車体フレームやドアフレームのチェックを依頼しましょう。
「急にドアが開かなくなった」という現象は漠然としていて、多くの不具合の原因が考えられます。どんな場合に、何をしたらら、スライドドアが開かないのかをつぶさに記録すると、整備士さんも解決のヒントが掴め、作業時間が短くなり、工賃の節約につながります。
この現象は手動式、パワースライドドアのどちらでも起こり得ます。原因は
が疑えます。最初にチャイルドロックをチェックし、解消できないなら整備工場に持ち込みましょう。
この現象は手動式、パワースライドドアのどちらでも起こり得ます。原因は
が疑えます。この現象が発生したら、まずは給油口が開いていないかチェックし、次にドアレールの目詰まりをチェックしましょう。
この現象はパワースライドドア特有の症状です。考えられる原因は
など。まずはチャイルドロックがかかっていないか確認し、かかっていないようなら内部構造のトラブルの可能性が高いので、整備工場に持ち込みましょう。
パワースライドドア特有の不具合症状です。考えられる原因は、
です。モーターの中でもリリースモーター関連のトラブルが疑えます。この現象が発生したら、整備工場に持ち込みましょう。
スライドドアはヒンジドアよりは複雑な構造のため、不具合の原因が多岐に渡ります。また大開口部をボディ中央に持っていることから、セダンやSUVなどと比較すると、経年劣化や使い方次第で車体フレームのゆがみの発生も否定できません。いずれにしてもスライドドアの修理費用は高額になりがちです。
新車で購入したばかりであれば保証で修理が可能ですが、中古車で特に保障に入っていない場合は「修理せずそのまま乗り続ける」「乗り換える」を選択できます。
パワースライドドアの電動機能が故障しても、手動でスライドドアが開くなら、乗り続けても差支えが少なくあえて修理しなくても問題はあまりありません。ただパワースライドドアの場合に手動で動かすとモーターが邪魔をして手動式スライドドアより開閉に力が必要です。女性や児童ではスライドドアの開け閉めが大変になり、勢い余って強く開閉することもあるので注意が必要です。
車体フレームやドアフレーム回りの外板に歪みを起こしている場合、乗り換えを検討してみても良いかもしれません。衝突事故を経験している場合は車体を修理したとしても、他の不具合を起こしかねません。また車体フレームを高額で修理しても、中古車業界の査定では「事故車」扱いのままなので、修理費用分の査定額アップは望めません。ならば事故車として売却し、そのお金を頭金にして買い替えの検討もありですね。
スライドドアの不具合症状とその原因、対策、大まかな修理費用についてご紹介しました。スライドドアはヒンジドアより複雑な機構のため、使用部品も多く、修理費用が高額になりがちです。またスライドドアの便利ポイントの大開口はボディ剛性に良い影響を与えず、経年劣化でスライドドアの開け閉めがしづらい状態を引き起こします。
スライドドアの開閉に不具合が生じ始めたら、修理費用や査定額と照らし合わせ、「修理する」「修理をせず乗り続ける」「乗り換え」のいずれかの選択をすると良いでしょう。
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